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ほえぶる!

ファンタジーやら現代もののエンタメ小説やら紀行文やら書いてます。自転車にも乗る。「文藝サークル~綴~」の中の人、「おにこくらぶ」の中の人、「ドジョウ街道宿場町」の中の人です。

どうも、じょがぁです。
ふと読んだ古典作品『五葉』に感銘を受けまして、ぜひ皆さんも読んでほしいなあ、というわけで、じょがぁ訳の『五葉』の一部を是非読んで下さいませ^^

無論、じょがぁの翻訳なので尊敬語とか謙譲語とか軽く無視してるよ!
妄想で本来ない文が入ってるかもだけど、大体合ってるから気にすんな!

それとなんか古典っぽくない雰囲気出してるけど、それが古典のいい味なんだぜ!
古典が苦手だけど大好きなじょがぁのススメと言うわけでどうぞ!



あらすじ

妻に先立たれた皇子(みこ)が帝の妻である后の宮(きさいのみや)に預けた子どもたちの元へ訪れる。そんなお話。


 『その時』が近付いてきますと、皇子は子どもたちを恋しく思う気持ちが募りに募って、ついに后の宮の元へ行くことにしました。
 屋敷に入ると、若君は無邪気に走りまわっていましたが、皇子を見つけますと后の宮に伝えようと宮の元へ走っていきました。
「お父さんが来たよ!」
 若君がそう言うのを、宮は微笑んで見ていました。
「さあ、こちらへ」
 皇子は后の宮の御前に座ると、色々なことをお話しました。
 宮に抱っこされている姫を見て、父である皇子は(ああ、可愛い……)と見ているのでした。
 しばらく見ないうちに姫もずいぶんと成長しました。
 にっこりと笑う様子がとても愛らしく、皇子が近付くと片言ではありますが言葉を発することが出来るほどです。
 しかし、その溢れんばかりの笑顔を見せる顔が、亡き妻の面影をそっくりそのまま写しとっているように見えたのです。
 皇子は耐えきれず目の前が真っ暗になるほどお泣きになりました。
「私も悲しく思いますよ。『見るに心は(※)』という歌のようですね」
 宮は涙に濡れた目を拭って言いました。

※『見るに心は』……しのぶ草 見るに心は 慰まで 忘れがたみに 濡る涙かな
 昔を思い出すのです。見ると心は穏やかでなくなって、あなたの残した子どもに涙をしてしまいます。
 死別した妻を思って詠んだ歌と推測。


「妹を見に来たよ!」
 若君がやってきました。
「この子は可愛いと思わないか?」
 皇子が尋ねると、若君はぶぶんと首を横に振りました。
「そんなことないよ! だってこの子が生まれてから后の宮様はずっと抱っこしてるんだもん! 僕のこと、前みたいに抱っこしてくれなくなっちゃったんだよ!」
 不満顔で言っていたところがどこかあどけなく、皇子は笑いました。
「いつまでも抱っこされようと思ってるのか。お前はお兄ちゃんなんだから、ちゃんとしっかりするんだぞ」
「いやだい! 僕はこの子よりずっと后の宮様と一緒にいるんだもん! この子は最近からだもん! 僕が抱っこしようとすると『落としちゃうからダメ』って言うんだ。僕がいるんだから、この子はいらない!」
 反発の言葉を口にしつつも、妹に対して関心のある素振りを隠しきれていません。
「あら、なんて可愛いのかしら」
 ぽそっと呟き、宮は温かい笑顔を見せました。
「ごめんなさいね、若君はいつもこのように聞き分けのないことを申し上げなさるのですよ」
 皇子は宮と若君のことが気がかりになりました。
「若君や、子どもっぽく駄々をこねるんじゃない。いいか、大人らしくなって、宮の御心が休まるようにふるまいなさい」
 そう若君を引き寄せて言いました。
 しかしながら若君には全く効き目がない様子で、なんとも思っていません。
 いよいよ皇子は心配になっていきますが、それを隠して笑います。
「はは、この子が大人らしく成長するであろう様子を見られないようです……」
 その口調はとてもしょんぼりと悲しげでした。
「ど、どうしてそのようにお思いになったのですか?」
 縁起でもありませんわ、と宮は不審に思っています。
「いやあ、妙にもの思いにふけっておりましてね。この世に長く生きられるように思えませんで……」
 皇子はごまかしました。
 本音を知らされるよりかは、こう言った方がいいと思ったのです。
「な、なんと不吉なことを仰るのですか!」
 事実、后の宮は驚きます。
「そこまで思いつめないで下さい!
 ……死別というものは決してこの世に例のないことではありません。心の底から愛して、この世を去っても一緒にいようと誓いあった人でも、相手が亡くなって時が経つと忘れ草を育てるように忘れてしまう、というのが世の常なのです。
 もちろん、だからと言って二人の愛が浅いというわけではありません。そのように忘れてしまうことが返って苦しい思いをしない、ということなのです。
 きついこととは思いますが、ただもの思いに沈んで、ひどく塞ぎこんでいらっしゃるのは全くお話にならないほど未練がましいことですよ。
 せめて『忘れ草』にゆかりのある『住吉の岸』だけでもお訪ね下さい。そうして、悲しみをお忘れになって下さい。
 そうすれば、どなたも悲しい思いをなさらないでしょう」
 宮が言い終えると、親王はしばし考え、口を開きます。

  つみぬべき 忘れ草さへ うき身には 人をしのぶの 色に見えなん
  =摘み取って亡き妻のことを忘れてしまおうと思う忘れ草でも、辛いことばかりの私には亡き人を恋い偲ぶ忍ぶ草の色に見えて、余計に思いが強くなってしまうでしょう。ですから私は摘み取りません。

 和歌をお読みになるのを気の毒に見ていた宮も返歌をします。

   尋ねても などつまざらん なべて世の うきを忘るる 草葉ばかりは
   =住吉の岸を訪ねていくのに、どうして摘み取らないのでしょうか? ……いいえ、摘み取れますよ、世の中の苦しいことを全部忘れさせてくれる忘れ草ならば。

 后の宮は和歌やその他でも親王を慰め、元気づけようと色々心遣いしてくれるのを見て、皇子はとても申し訳なく思いました。
(もし自分の心の内をお見せしたら、どんなに悲しくお思いになるだろうか……)
 そのことをどうしても言えないことに耐えきれなくなりますが、皇子は何事もなかった様子で本心を隠して宮を出ました。
 そしてそのままその夜、一目に付かないようこっそりと自宅を出ました。
 頼れる仲間を二、三人だけ連れて、三井寺に向かいます。
 普段から親しくしていた阿闍梨(あざり)の手によって、髪を切り、出家するのでした。



以上です。

当時、出家するということは家族と会えなくなることと等しいことでした。
皇子は子どもたちの将来が気がかりなまま、仏の道を歩むのでした、というちょっと悲しい結末です。

伏線が張られた味のあるストーリーもそうですが、何より人物が立っているところが素晴らしいと思います。

主人公の皇子が抱える、言いたくても言えない秘密。
姫の容貌を見て妻を思い出してしまうところから窺うに、とても奥さんを愛していたんだろうなあと思います。

帝の妻、后の宮はとても優しくて、同時に経験豊かな母親の厳しさを持っています。
皇子の言い訳の応答シーン、あれ原文だともっとキツイこと言ってます^^;

それから皇子の子どもたち! うわああ、可愛すぎるよぅ! ちっこい子が可愛いのは今も昔も変わらないようですね。
若君のワガママ、あれもずっと変わらないものなんですね。しかし若君も姫も愛されてるなあ。


自分もまだ『五葉』はこの文章しか読んでないのですが、機会があったら読んでみたいです^^
いやしかし、この作品は江戸に書かれたもので、恐らく市場には出回ってないんだろうなあ……。

ま、とにかく、古典ってのは決して『昔のこと』じゃないってことですね。
ぶっちゃけ若君のワガママに感銘受けてブログに書いたわけですし。

『源氏物語』もあらすじだけ読むと「これなんてエロゲ?」と言いたくなりますが、
初めからゆっくり読み進んでいくと、『日本の心』が分かるんじゃないですかね?



まあ、そんなわけですけど、もしまた何か心に響く作品を見つけましたら(暇がありさえすれば)載せていきたいと思います!




これ、著作権大丈夫……ですよね?
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